イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

2020-01-01から1年間の記事一覧

鳩の復讐

コロナ禍が消えやらぬなか、遠方への旅行は難しい毎日。 とりあえず、旅は想像の中でしか無理ということで、 もともと好きな海外小説がますます魅力的に見えてくる。 バーチャルでない、足を動かす旅は近所の散歩ぐらいなのだけれど、 イルクーツクは自然が…

ブックカバーチャレンジ おまけで猫 7日目 しぼりきれなくてごめんなさい

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 7日目 最終日、選ぶのに困りすぎてしまったので、最終候補の3つをすべてアップ。 ブルガーコフ作、水野忠夫訳 『巨匠とマルガリータ』(河出書房新社) 学生時代に読んで、ノックアウトされた…

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 6日目 『絵本ジョン・レノンセンス』

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 6日目の今日は、 ジョン・レノン『絵本ジョン・レノンセンス』(晶文社) 左はロシア語版。 ロシア語版は裏側が英語版の表紙になっている。 ナンセンスな内容ばかりなので、考えなくても読める…

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 5日目 『歩きたくなるHawaii』

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 5日目 近藤純夫『歩きたくなるHawaii ハワイの自然と歴史をいっそう楽しむお散歩コース』(亜紀書房) 正直なところ、この本を読むまで、ハワイに行ったことも、行きたいと思ったこともなかった。…

『シベリア・イルクーツク生活日記』 第三回「映画で振り返る戦争」掲載

集広舎のホームページで連載中の『シベリア・イルクーツク生活日記』 に新しい記事を寄稿しました。 第三回 映画で振り返る戦争 結局その後、戦勝記念パレードは6月24日に延期されたようです。 まだまだ毎日、新たな新型コロナ感染者が出ているなか、 たった…

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 4日目

ピョートル・ワイリ/アレクサンドル・ゲニス作、沼野充義/北川和美/守屋愛訳『亡命ロシア料理』 学生時代からのバイブル。タイトルは『亡命ロシア料理』だけど、作者は厳密には反体制的な亡命者ではなく、しかも二人ともリガ出身というところが、先回紹介…

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 3日目、 ヘニング・マンケル『リガの犬たち』

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 3日目は ヘニング・マンケル作、柳沢由実子訳『リガの犬たち』(創元推理文庫) こちらも推理小説です。 ヘニング・マンケルの本は、児童文学も含め、これまで読んだものも全部面白かったけれど…

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 二日目、『ファンドーリンの捜査ファイル リヴァイアサン号殺人事件』

先回に続き、二日目の今日は、 ボリス・アクーニン作、沼野恭子訳 『ファンドーリンの捜査ファイル リヴァイアサン号殺人事件』 (岩波書店) ボリス・アクーニンは日本通で、そのペンネームは日本語の「悪人」に由来する、 という豆知識は前からあったけれ…

#7日間ブックカバーチャレンジ( おまけで猫) ミカエル・ニエミ作、岩本正恵訳『世界の果てのビートルズ』

今流行っているらしき、#7日間ブックカバーチャレンジ 、 バトンを受け取った者は毎日一冊ずつ、本のカバーをアップし、 さらにそのアクションをバトンとして他の人にまわす、というもののようですが、 北京時代にお世話になった大先輩ライター、原口純子さ…

緑のイルクーツクとモップ猫とラジオテキスト5月号の「商売で『動く』」

イルクーツクは、いよいよライラックも咲いて、春満開。 でも、シベリアの春は、緑のみずみずしさがやっぱり目に染みる。 たとえば、中庭の緑、 公園の小径を縁取る緑 建物に寄り添う緑 猫が戸惑う緑 はしごと並ぶ緑 モスコビッチ412まで緑! 話はちょっと変…

春は川辺、春は猫

昼間は初夏のような気温になっても、なかなか春の花が見られず、 彩りに乏しかったイルクーツク。 でも最近はさすがに、いかにも春らしい表情になり、 アンガラ川の岸辺の「氷の上に行くのは危険」という看板も、 役目をすっかり終えてバカンス。 雨が降ると…

コロナ禍の中のイルクーツク

今年から連載を始めさせていただいた、集広舎のサイトの シベリア・イルクーツク生活日記という連載で、 新型コロナ対策が始まってからのイルクーツクの状況について書いてみました。 ちなみに、対策については、 タイガーバームを鼻の穴に塗るとか、 お酒で…

パスハの後の気づき

先日、4月19日は、ロシアの復活大祭、「パスハ」だった。 東方正教会以外のキリスト教やユダヤ教では、 4月12月が復活祭、つまりイースターだったのでちょっとややこしいが、 これはロシアの東方正教会が別の暦に基づいて祭日を決めるためらしい。 今年は、…

ラジオ「マイあさ!」でお話ししました

ご報告が遅れてしまい、すみません。 今朝のNHKラジオの「マイあさ!」という番組で、ロシアの医療について少しお話ししました。「海外マイあさだより」というコーナーです。以下の聞き逃しサービスで、5時40分台から聴けるようです(配信は4月25日(土)の…

ラジオ深夜便の聞き逃しサービスと、ユーモアで乗り切るコロナ・ストレス

先日予告させていただいた、ラジオ深夜便での放送内容、以下の聞き逃しサービスで4月11日の午前4時まで聴けるようです。(4日の午前0時10分台の放送) https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=0324_05_328812 日本の一部が「緊急事態」と宣告さ…

ラジオ深夜便のアジアレポートでお話しします

ぎりぎりのお知らせですみません。今晩のラジオ深夜便、0時10分台からのアジアレポートで、イルクーツクのアジア文化についてお話しします。 https://www.nhk.or.jp/shinyabin/program/2a5.html

4月から新連載「行在中国『乗り』ものがたり」

今年度もNHKラジオテキスト『まいにち中国語』の巻頭口絵&巻末エッセイを 担当させていただくことになりました。 今回のテーマは、『乗り物』です。広い中国を駆け巡るさまざまな乗り物や、乗り物にまつわるエピソードを綴っていこうと思います。 昨年秋に…

シベリアの春の嵐

今日はほぼ一日中吹雪いていた。 でも、パウダースノーではなく、もっと湿り気があって、 すぐに融けるであろう、春の雪。 おとといは、雪がほとんど融けたのをこれ幸いと、 自転車で川辺まで行ったほどなので、 空に冗談を言われている感じ。 そもそも春の…

Artscapeのフォーカス欄·に寄稿「マクシム・ウシャコフ追悼に寄せて」

敬愛するイルクーツク出身のアニメ作家、マクシム・ウシャコフについて、 artscapeのフォーカス欄に寄稿しました。 https://artscape.jp/focus/10160618_1635.html 個展が開かれたら、ぜひどこかで紹介したいと思っていたのですが、 開幕を待たずに亡くなり…

新連載『シベリア・イルクーツク生活日記』開始

長らくお休みしていた集広舎ホームページの連載ですが、 新たなタイトルで再開しました。 シベリア・イルクーツク生活日記 第一回 あくまで生活者の視点からの記事となりますが、 何かの参考になれば幸いです。

マイあさ!聞き逃し配信とラジオまいにち中国語

うっかりしていましたが、先日予告させていただいたNHKラジオの番組、「マイあさ!」の「海外マイあさだより」、以下のサイトで5時40分台から聴けるかと思います。(配信は3月8日の午前6時55分まで) https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=56…

ロシアで相撲を観る

昨日今日、テレビをつけると、相撲の試合をやっていた。 どうも、ロシア国内のチャンピオンシップの様子らしい。 ロシア人らしき行司さんが、 「はっけよい、のこった、のこった」 と言って走りまわっている。 いろんな体重、体形、人種の男女が 一様にまわ…

「NHKラジオ海外マイあさ」にて春のイルクーツクについて

そう厳しいとは感じなかった今年の冬。 あれ、このまま春?という感じがしていたら、 先日雪が降り、今日も雪が降ったりやんだり。 というわけで、今はふたたび純白の雪景色。 でも、晴れ間が見えた時の日差しが明るいので、 雪も春っぽくきらきらと輝いて、…

筋違いのバヤン芸人

ロシアで人気のある楽器に、バヤンがある。 いわばロシア風の、大きくて重たい、ボタン式アコーディオン。 繁華街で流しの音楽家が弾いていたり、 パーティーで参加者の誰かが弾いて場を盛り上げたりする。 ロシアではバラライカと並び、民族楽器としても存…

カウボーイブーツのおじいさん

カウボーイブーツとジーンズが好きだったミハイル・プロハラビッチ。 70歳を迎えても、おじいさんと呼ぶのがためらわれるほど、若々しかった。 現代美術のアーティストであるとともに、ハーモニカやギターを得意とするミュージシャンでもある、 という多才な…

初作品と初夢

スラバの新しい絵を彼のサイトにアップしたので、お知らせします。 https://slavacarotte.com/ 新しい年の初夢、ならぬ初作品で、モスクワ郊外の教会です。 ちなみに、私の今年の初夢は、とっても鮮やかで美しい、 どこか抽象画のような情景が目の前に浮かぶ…

新型肺炎をめぐる雑感

今回のコロナウイルスによる新型肺炎。 患者さんたちの一日も早い回復を祈るのはもちろん、 人々の移動も早く自由になれば、と心から願わずにはいられない。 現在の状況はまた違っているのかもしれないが、 2003年のSARSの際に北京に住んでいた者としては、 …

ロシアのお清め「クレシェーニエ」

昨日は、「主の洗礼祭(クレシェーニエ)」と呼ばれる日だった。 何をする日かといえば、このように パンツ一丁になって氷の中で沐浴をし、身を清める日。 また、教会などで聖水を汲み、その水を家で大事に保存する。 この水は、一年置いておいても腐らない…

1月16日はロシアではビートルズの日

知る人ぞ知る、ビートルズの記念日がある。1月16日だ。 一説によれば、もとは「ユネスコがこの日をビートルズの日と決めた」というフェイクニュースが元になっているということだが、 実際にも、初期のビートルズが演奏をしたCAVERN CLUBが1957年のこの日に…

ラジオの「聴き逃しサービス」とイルクーツクの木造建築

先回お知らせした放送、少し電波の状態が悪く、聴きづらくて恐縮ですが、聴き逃しサービスで聴けるようです。 関西発ラジオ深夜便、アジアレポート1月11日(土)(配信は1月18日の午前4:00まで) 番組でお話しした、木造家屋について、少し写真を連ねてみま…