イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

#7日間ブックカバーチャレンジ おまけで猫#bookcoverchallenge 二日目、『ファンドーリンの捜査ファイル リヴァイアサン号殺人事件』

 

 先回に続き、二日目の今日は、

ボリス・アクーニン作、沼野恭子訳

『ファンドーリンの捜査ファイル リヴァイアサン号殺人事件』

(岩波書店)

 

f:id:lecok:20200526134434j:plain

ボリス・アクーニンは日本通で、そのペンネームは日本語の「悪人」に由来する、

という豆知識は前からあったけれども、実際に読んだのはこの本が初めて。

作者が日本通であることは、内容からも伝わってくる。

舞台は19世紀末。

推理小説としての面白さのなかに、当時のヨーロッパとアジアの人的交流、

さらには国家間の利益争いまでが風刺的に盛り込まれていて、暗示的。

個人的には、

こういう本を原語で、辞書などに頼らずスイスイ読めるくらい

ロシア語をきちんとマスターしたい、という欲が出てきた、

という意味でもありがたい本だった。

でも、その前にアクーニンの全作品が日本語訳されてしまったら、

怠けてしまうかも。

アクーニンさん、ぜひとも長生きして、たくさん本を書いてください。