イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

#7日間ブックカバーチャレンジ( おまけで猫) ミカエル・ニエミ作、岩本正恵訳『世界の果てのビートルズ』

今流行っているらしき、#7日間ブックカバーチャレンジ 、
バトンを受け取った者は毎日一冊ずつ、本のカバーをアップし、
さらにそのアクションをバトンとして他の人にまわす、というもののようですが、
北京時代にお世話になった大先輩ライター、原口純子さんからお誘いいただいたので、バトンを引き継ぐことにしました。
 
ロシアという、国際郵便事情がきわめて悪い国にいるので、
今、身の回りにある本から、比較的読みやすいものを選ぶつもりですが、
いずれも
北京→モスクワ→イルクーツク(受け取れず送り返されて)→モスクワ→北京→浜松(数を大幅に減らして)→イルクーツク
という長旅を経て届いた、ウルトラ強運の本たちです。
 
まず、一冊目は、
ミカエル・ニエミ作、岩本正恵訳『世界の果てのビートルズ』(新潮社刊)

f:id:lecok:20200526133859j:plain

田舎町でロックバンドを結成する少年たちの青春模様が描かれているのですが、
脳内世界を再現したような、幻想的な場面が何度も出てきます。
舞台の村はスウェーデンでありながらフィンランド語圏で、ロシアも近いからか、
超絶豪快なウォッカの飲みっぷりや、自虐度満点のサウナ浴の描写などから、
ロシア文化との近さも感じました。
 
昨年夏にシベリア鉄道で大陸を横断した時に読んだ本なのですが、
旅行中、ヘルシンキで再会したスウェーデンの親友の話では、
今、この本の舞台になっている「スウェーデンの北の果ての寒村」は、
この本の大ヒットのお陰でかなり観光客を集めており、
本に出てくる料理を出す店などもできて、けっこう賑やかだ、
ということでした。
やっぱり、本の力っていろんな意味ですごいかも。