イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2025多田麻美

ラジオ深夜便でアルタイへの旅を紹介&症状におちょくられる

まず、お知らせです。

昨晩、NHKラジオ深夜便の「アジアレポート」という番組で、

この夏のアルタイ旅行についてご紹介しました。以下の聞き逃しサービスで

9月19日の午前1:00まで聴くことができます。

プレーヤー | NHK ONE らじる★らじる

旅の道のりの長さ、大変さとともに、

見知らぬ大地を訪れる楽しさも感じていただけるといいのですが。

レーリヒについて出てきますが、

レーリヒには聖人のような面がある一方、

とても人間臭くて複雑な人物でもあり、

じつはそこも彼の面白さです。

 

+++++++++++++++

 

ちなみに、

ここずっとブログの更新が途絶えてしまったのは、

あれこれ投稿をしていたからだけでなく、

何よりここ一カ月ほど、体調がとても奇妙で、

頭がぼうっとした日が続いてきたから。

 

2000年に北京で留学生生活を始めたとき、

部屋にこもる研究生生活で体がなまっていたせいか、

1カ月以上風邪が長引いた経験があるが、

今回のような症状は初めて。

おおよそは風邪みたいだが、風邪なのかどうかは謎。

 

まず、頭の鈍痛、微熱、ときどき高熱が2週間ほど続き、

次に頭の激痛(割れるような痛みが2度)、そして鼻水。

日常的にも頭の鈍痛と微熱がほぼ毎日続き、

「少し好転したかと思うと、ぶり返す」の繰り返し。

 

3週間半が過ぎ、さすがにそろそろ良くなるかな、と思っていたら、

今度は喉がひどく痛くなり、高熱と咳とくしゃみと鼻水が

ほぼ同時に押し寄せてくるという、予想外の変化球にたじろぐ。

しまいには胃腸までおかしくなってきて、

症状の複雑さはエスカレート。

不可解さが病苦をしのぎ、

「私、おちょくられてる?」という気分に。

 

2週間遅れぐらいでスラバも体調が悪くなったのだが、

不思議なことに、症状の出る順番が私と逆だったり、

ひどさの程度が違ったりして、

予測のつかなさはどっこいどっこい。

でも彼には発熱や頭痛はない。

 

新型コロナのような気もするが、あまりに不可解すぎる。

とにかく夫婦そろって、

多種多様な病原菌に代わる代わる

「ほれ、参ったか」と

突っつかれているみたいな気分。

 

アスピリンと風邪薬を何箱平らげようと、

症状が治まるのは服用後の数時間だけ。

 

もちろん病院に行こうとはしたのだが、

ちょうど保険が切れていた上、

今は制度の変わり目ということで、

保険の更新には2週間かかるのだとか。

 

その時は頭痛がメインで、脳血管の病気も疑っていたので、

ああ、これで発作とか来たら一巻の終わりだな、

ラジオ放送の直前なんかに倒れたらどうしよう

とびびったりしたものの、

その後、「各種症状てんこ盛り」になだれ込まれ、

発作の恐怖がどさくさにまぎれたのは、

良かったのか悪かったのか……

 

これはもう、「悔しけりゃ、体力づくりをしなさい」

という天のお告げだと思うしかないかも。

 

なにはともあれ、間もなくまた別の旅が始まる。

病原菌をばらまく旅にならぬよう、健康を取り戻して、

旅に備えなくては。

 

最近のシベリアについて投稿~アルタイ旅行での印象も交えて

最近のシベリアの情況について、集広舎のサイトに投稿してみました。
少し前にNHKラジオでお話しした内容とも少しかぶりますが、よろしければご覧ください。

遠くて近い戦争がもたらした変化|集広舎

 

今回、初めて西シベリアをゆっくり旅行することができ、

発見が多々ありました。

印象的な出会いもいくつかあったので、

また稿を改めて書いていこうと思います。

 

エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ

発見といえば、今年は高松塚古墳が発見されてから54周年。

先日やっと飛鳥・藤原の宮都が世界遺産に登録された。

ちなみに、私が子供の頃はまだ古墳発見の興奮が残っていたせいか、

家にはこの壁画の大型複製版が長らく掛かっていた。

つまり、私が人生で最初にじっくり鑑賞し、

印象に刻んだ絵は古墳の壁画ということになる。

その後、中国滞在中に

「壁画風の絵」ばかりを敢えて描く画家に出会った時、

その絵に何ともいえない懐かしさを覚えたのも、

この壁画の影響だろう。

アジアの歴史やシルクロードに興味を持てたのも、

この絵のおかげかもしれない。

ああ、また旅がしたくなってしまった。

旅から帰ったばかりなのに……

 

アルタイはやっぱり遠かった&ラジオ「マイあさ!」に出演

ノボシビルスク経由でアルタイへ行く計画を立て、

準備を進めること1カ月。

 

やっと来た出発当日、

留守中の家のことを手配し、

列車の中で食べる物も含めて荷物を全部準備して、

時間的にかなりギリギリのタイミングで

タクシーをつかまえて出発。

 

ダーチャ行きの車が集中する時間帯のうえ、

ガソリン待ちの影響もあったのか、

予想以上に渋滞している道を。

運転手さんに頑張ってもらい、

ハラハラしながら駅へ。

 

発車時間まで15分を切る中、

必死で荷物チェックをこなし、

ホームに向かい、

長い列車の列を

予約した座席のある車両まで

ヒイヒイ言いながら急ぐ途中で、

はっと気づく。

 

「パスポート忘れた!」

 

そう、ロシアでは長距離列車は

パスポートなしでは乗れないのです。

 

幸い、更なる格闘を経て、

日程変更は何とかできたものの、

泣くに泣けないうっかり大失敗の記録、

また更新してしまいました🥲

 

それはともかく、明日(11日)の朝5時台に、

NHKラジオ「マイあさ!」の「マイあさだより」で

イルクーツクの燃料事情についてお話しします。

ラジオ番組に出演&冷蔵庫交代劇

まず、先週金曜夜、0時台のNHK「ラジオ深夜便」でイルクーツクの燃料事情についてお話ししました。聞き逃し番組の配信サービスはこちらです。0時10分過ぎから始まるかと思います。

プレーヤー | NHK ONE らじる★らじる

配信は11日(土)の午前1:00までだそうです。

 

今回もあくまで住民の目線から

こちらで見聞きしたことを話しただけですが、

放送直後、ちょっと不気味な現象が。

PCがいきなり音を立て始めたのです。ブオーンと。

しばらくすると音は大きくなり、

いくら待ってもやまないので、

PCの電源を切るしかありませんでした。

 

ちなみに、我が家にとっては、今回のガソリン不足、

かなりタイミング悪く起きました。

まず、スラバが骨折治療の最終段階にあり、

1カ月の入院を経て、まだ毎日、通院せねばならないからです。

他の場所ならともかく、治療するのは足なので、

できれば車で病院に行きたいところ。

でもタクシーは当初は従来の3倍、今も2倍近い乗車賃。

バスも人であふれ返っている、ということで、

今は何と、自転車で病院に行っています。

 

あとは我が家の冷蔵庫問題。

冷蔵室が壊れてしまい、

ロシアで「窓の下」と呼ばれる、

外気の涼しさを利用した貯蔵スペースなどで

何とかしのいでいたのですが、

さすがに外もけっこう暑くなり、

買い替えねばと思っていたところ、

先日亡くなった友人の遺族の方(こちらも友人)が、

タダでその友人の冷蔵庫をくれることに。

 

でもその直後にガソリンが欠乏&高騰。

運んでくれるはずだった友人も、

「車もあるし、運ぶ時間もとれるけど、ガソリンがない」と。

さすがに我が家の冷蔵庫のために、

彼をガソリンスタンドに8時間以上並ばせるわけにはいかず、

運送会社に依頼して、何とか解決。

 

そんなこんなで、やっとのことで

うちのキッチンに鎮座ましました冷蔵庫。

 

友人のものだっただけに、

何だか特別な思いも沸きますが、

製造年を見ると、2009年。

もちろん、ちゃんと動いているから、

無いよりずっとありがたいけれど、

苦労してご来臨を賜ったわりには、

お先はそこまで長くなさそう。

 

こりゃ世代交代というより、

補欠選手に交代ってとこかな、と思いつつ、

同じく人生後半戦の私には、

この冷蔵庫がふたたび活躍の場を得たことに、

「世の中、こうあるべき」みたいな

不思議な連帯感や嬉しさも。

 

とはいえ、いくらPCがブンブン唸ろうと、

私のイルクーツクでの暮らしは恐らく、

この冷蔵庫の寿命よりは長い。

できれば、そうあって欲しい。

 

そこで、心でこっそり願ったのでした。

もっと雲の上の交代劇も予測されているけど、

とりあえず我が家の冷蔵庫に関しては、

しばらくは働いていただけますように。

そして、次の交代劇までは

燃料不足が落ち着いていますように、と。

 

 

 

 

 

 

 

ARTSCAPEに記事を投稿しました

4月に北京で鑑賞した2つの展覧会についての記事が、

ARTSCAPEに掲載されました。

artscape.jp

一つ目の黄鋭の展覧会は、

今でもその衝撃が生々しいほど美しかったのですが、

これはアートなのだろうか? という戸惑いを感じる展示でもあり、

アートの定義やアートとアートでないものとの境界について

いろいろと考えさせられました。

 

また、黄鋭の作品を2番目に紹介した

シュールレアリズム絵画展の作品と比べることで、

絵画とデジタルアートの違いについても

あれこれ考えずにはいられませんでした。

 

いい絵画には当然ながら、

単なるバーチャル映像にはない量と深さの

情報が詰まっています。

デジタルアートの方が一見、情報量は多いように見えても、

その情報の多くはリアリティを生み出すために過ぎない。

でも、黄鋭さんのデジタルアートからはなぜか、

それだけでは割り切れない深さを感じたのです。

 

しかも今回は宇宙がテーマということで、

さらにこんな疑問が浮かびました。

宇宙を表現するというのは

どういうことなのか?

 

ネット上に画像や映像が溢れ返る時代は、

世界をバーチャルで捉える感覚が強まりがち。

だからかえって、宇宙を描いた映像に

リアリティが感じられるのかもしれません。

365回目の「町の日」をめぐる記事と「タンポポ大繁殖」続報

まず、お知らせです。

集広舎に連載中の「シベリア・イルクーツク生活日記」を

更新しました。

shukousha.com

今回は365回目の「イルクーツクの誕生日」をめぐる記事です。

会場の雰囲気が視覚からも伝わるよう、

画像を多めにしてあります。

 

息のつまる時代こそ、娯楽は不可欠

人々が狂気に走らず、正常な思考を保つために。

でも今のロシアでは、それは叶いづらい。

とくに大きなイベントでは。

 

☆☆☆

先日書いた、タンポポ大繁殖。

近所の人に理由を訊いてみたら、

公式にはこんな風に説明されていたそう。

 

「昨年、雑草を刈る時期が普段より遅れ、

タンポポが綿毛を飛ばした後になってしまったため、

地面に大量に落ちた種子が今年になって育ってしまった」

 

でも、その方も半信半疑の様子。

私も何だかあまり信じられません。

そもそも、広大なシベリアでは、

雑草などまったく刈らない場所がたくさんあるし、

刈る場所でも、その時期が

「一斉にどこもかしこも遅れる」

などということはあまり起こりそうにない。

 

ただ、戦争のせいであちこちで予算が削られているので、

雑草を刈る回数が減ったというのは、十分あり得ること。

そのため、「半信半疑」というわけです。

大気汚染説についても、

どこそこの町で高い汚染度を記録した、

などというニュースを目にしたりしたので、

まだまだ捨てられない。

実際にシベリアに住んでいる人間としては、

あまり信じたくないですが……

 

ちなみに、今、タンポポたちのほとんどが、

すっかり綿毛になっています。

来年はさらに黄一色の

タンポポの絨毯ができるかも?

展覧会のビデオとタンポポの大繁殖

スラバのポスター展、

オープニングをめぐるあれこれをビデオにしてみました。

youtu.be

皆さんに喜んでいただけたので、開いて本当に良かった。

 

参加者の背景は本当にいろいろ。

今の情勢に関しても、いろんな考えの人がいて、

いろんな体験もしているはず。そんな時でも、

好きな音楽を聴きながら、アートにも触れつつ

友人たちとリラックスした時間を過ごせることは

やっぱり貴重なのだと、しみじみ思いました。

 

動画からも分かりますが、

オープニングの前日は雨だったのに

オープニングの日だけ、奇跡的に晴れています。

翌日はまた雨だったので、本当に幸運でした。

 

☆☆☆☆☆

イルクーツクの気候は今、

初春と初夏の間を行ったり来たり。

大慌てで一斉に咲いたタンポポが

草地の絨毯になっていて、

色合いとしてはほっこりする長閑さ。

 

でもその反面、

その密度がこれまで観たこともないほどぎっしりなので、

ちょっと不気味な感じも。

ちなみに、タンポポ大好きの我が家の五色ひわにとっては、

満腹の春。

 

しかし、なぜこんなにタンポポが多いのか?

調べてみると、タンポポは

問題のある土壌で繁殖しやすいのだそう。

酸性度が高かったり、圧縮されていたり、

カルシウムが欠けていたりする土壌で。

 

そこで、タンポポを土壌の健康状態を示す

「生きた指標」と呼ぶ人も多いのだとか。

 

そしてタンポポには、

カリウムやリンなどの微量栄養素を蓄積し、

徐々に土壌に放つ力もあるらしい。

なんだか、「風の谷のナウシカ」に出てくる

菌類みたい。

 

でも今のシベリアではいろんなところが

タンポポだらけとのこと。

シベリアの土壌全体が悪化するって、あり得るのだろうか?

まさか雨水の酸性度が高まっている? 

 

正直、最近街を歩いていると

排気ガスの臭いが気になるのは確かだけれど、

感覚的なものだから何とも言えない。

 

街は徐々に寂れていっているように見えるし、

人々の顔も沈みがち。

 

そうなると私の心もやはり

あまり晴れ晴れとはしないが、

幸い、春はちゃんとやって来る。

先日やっとライラックとリンゴの花が咲いた。

さすがにもうひどい寒さは戻らないだろう

と思っていたら、

また寒さがぶり返してびっくり。

その時、ある人が

「ライラックが可哀そう」と言っていた。

 

やっぱりこちらの人にとって、

ライラックは特別な花のようだ。

タンポポは完全に雑草扱いなのに……