イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

ふたたび花博&ラジオの聴き逃しサービス

花博の浜名湖畔をふたたび巡った。

今度は浜名湖ガーデンパークで、

まさに文字通りの春暖花開&百花斉放。


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幼稚園時代によく一緒に遊んだ幼馴染と

一緒に巡ったせいか、

子供の頃、

まるで草原のように広く見えた空き地や、

ジャングルに見立てた森林の多い公園で、

あれこれ想像しながら遊んだことを思い出す。

 

そして気づく。

時はうん十年経っても

草花を見てときめく気持ちは、

あんまり変わっていないことに。

 

それにしてもなぜ人間は

ミツバチでもハチドリでもないのに、

花に心惹かれ、こんなに美しいと感じるのだろうか。

 

幼馴染によれば、

さまざまな色に囲まれていると、

人は長生きするのだとか。

 

思えば、ロシアの教会には、

これこそ天国かと思うほど

カラフルで美しい花壇があることが多い。

 

その華やかな色合いを見るたび、

常緑樹を重んじる日本の禅寺などとは

まったく違うと感じてしまうが、

 

もしカラフルなものを見ることが

長生きにつながるなら、

教会の庭の風景は

天国的という以外の意味でも、

永遠を志向していることになる。

 

そういえば、松の長所だって、

ただ常緑なだけでなく、

長生きであること。

そして松の葉の香りは

人をリフレッシュさせ、元気にする。

 

正教も禅宗も一見お堅く、真面目一筋に見える宗教。

でも、実際のところは、

教えとか理屈とは別の、

もっと潜在的な感覚や経験の次元から、

風習となり、受け継がれていることが、

いろいろとあるのだろう。

 

そして永遠性への志向のように、

宗教の差を超えて共通していることも。

 

こういう共通点に

人々がもっと関心を持てれば、

世界はもうちょっと平和になれるかも?

 

*******

ちなみに土曜朝にNHKラジオマイあさ!でお話しした内容、以下のサイト

プレーヤー | NHKラジオ らじる★らじる

で、4月13日の5:55まで聴くことができます。

5時45分前後から始まります。

 

浜名湖花博&ラジオでお話&「ユーラシア後ろ歩き」更新

心華やぐニュースが少ない今日この頃、

たまには、華やか、かつ「花やか」な話題を

というわけで、

今回はまず現在開催中の浜名湖花博について。

 

浜松はじつは花の街。

植物園を兼ねた公園も2つあり、

それぞれに特徴があって、

植物好き、花好きにとっては、まさに心のオアシス。

 

今回はその内、3月23日から

花博の会場になっている、

1970年開園のフラワーパークへ。

百花繚乱の園内は、

やっと桜が楽しめる気候になったこともあり、

春の散策にもってこい。

 

誰が評したのか、世界一美しいとの評判のある、

「桜とチューリップの庭園」、

さらには没入型庭園、

草花を生やした熊やマスコットなどが

次々と現れて、まるで夢の中にいるよう。

温室も気合たっぷりで、

蘭のアーケードやガーベラの池など、

デザインの妙も楽しめました。

 

そして何より、多肉植物や大輪の花々などの

自然の造形の素晴らしさにはため息ばかり。

 

もう一つの浜名湖ガーデンパークでも、

明日から花博がスタート。

ますます花やぐ浜名湖畔です。

 

一方、シベリアの春、とくに晩春は

花以上に印象的と言ってもいいほど、

新緑が映える季節。

そんな緑の美しさを思い浮かべつつ、

明日の朝、ラジオでシベリアの春の森林についてお話しします。

といっても、森林火災の話題ですが……

 

NHKラジオ『マイあさ!』の

「海外マイあさだより」というコーナーで、

恐らく5時45分前後から始まりますので、

ご興味のある方はぜひ。

 

また、お知らせが遅くなって恐縮ですが、

水曜日には、メルマガ『ROADSIDERS’ weekly』(有料)に連載中の

「ユーラシア後ろ歩き」も更新されました。

ROADSIDERS' weekly .

今回も、ひーふー言いながら、

前進し(ようとし)ています。

「ユーラシア後ろ歩き」第4回が掲載されました

都築響一さんの会員制メルマガ(有料)、
ROADSIDERS'weekly

に拙稿「ユーラシア後ろ歩き」の第4回が掲載されました。

タイトルは「歩き」ですが、

今回は、ウランバートルのシティーボーイや元オリンピック選手と一緒に「走って」います。

車の助手席で……

ビルの屋上のゲルも出てきますので、

屋上の活用に興味がある方にも面白いかも?

 

それにしても、私も家の屋上にゲルを乗っけて、

暖炉で沸かしたお茶を飲んでみたい。

望遠鏡で星空を眺めながら……

 

 

 

 

 

「ユーラシア後ろ歩き」更新のお知らせと、ウランバートルの印象

まずお知らせです。都築響一さんの会員制メルマガ(有料)、ROADSIDERS'weeklyの最新号(2024年03月07日 Vol.587)に、 現在連載中の

roadsiders.com

が掲載されました。 今回は、旅人の目から見たウランバートルの音楽やアートなども出てきます。

連載のサムネイルになっているグラフィティからも分かるように、ウランバートルはちょっと不思議な日本びいきを感じる街でした。

街を歩いていると、雰囲気では中国やロシア、商売面では韓国の方が近そうに見えるのですが、

ふと目をやると、日本の古着だけを扱っているお店があったり、その一角に日本語教室のパンフレットが並んでいたり。

日本のコスメや生活用品や100円ショップのお店(ウランバートルでは価格は個別に設定)なども見かけました。

新しい空港や鉄道の建設に日本は多大な援助をしているようで、現地の人からもその話題が出ましたが、そのことはそこまで広くは知られてはいないとのことです。

とくに注目されていたのは2021年にできたチンギスハーン国際空港で、

開港から数か月後に訪れた時は、

まだぴかぴかの空港が夕焼けをバックに翼のような形の屋根を広げていて、

周りが広大な草原だけに、ああ、モンゴルに舞い降りたんだと、

とても爽快な感動を覚えました。

唯一残念だったのは、都心から離れているわりに、公共の交通手段が限られていたこと。大きなホテルと空港を結ぶバスや、乗り慣れない人には使いづらい市バスはあるのですが。

市内の主要な地点との間を結ぶシャトルバスや電車のようなものがあれば、外国人も楽に安く移動できるのに、と惜しい気がしました。

とはいえ、私は幸運にも、タクシーでの移動をめぐって、いろいろとユニークな体験をしました。

街によってタクシーに運転手さんの気質に特色があったりしますが、

ウランバートルの場合は話しすぎず、静かすぎずで、バランスが良かったです。モンゴル語が解れば事情は違うのかも知れませんが。

あちらではライドシェアが一般的なので、たまたま乗ったのが子どもの送り迎えの車だったときは、助手席には運転手さんの娘さんらしき小学生が乗っていたりしました。

そういえば、中国の田舎でタクシーに乗った時も、

目的地に行く途中で親戚を病院に送ったり、

食材を何処かに届けたり、とやたらと寄り道をするので、

面白い反面、何時着くか不安になったことがあります。

運転手さん本位のタクシー業、

現地の生活が垣間見られるという意味では、面白いです。

急いでいる場合は、時に交渉力が必要になりますが。。。

開店一週間目の抱負

スラバのネットショップ、slavacarotteshop.comが開店してから、はや一週間。

今日やっと、業務用メールアドレスが

全然機能していなかったことに気づいた。

気づくのが遅すぎる……。

格闘すること3、4時間、何とか問題は解決。

決済関係は専門業者のサービスを利用しているので安心できるのだが、

サーバーやメールは自分で設定せねばならなかった上、

やはりただのサイトと違い、ネットショップは気を遣う点が多かったので、

つい、見落としていた。

大反省。。。

 

お店はただ開くだけじゃダメ、関心を持ってくださりそうな方が

ちゃんとお店にたどりつけるようにしなきゃ、という、

自分でも重々承知の、至極ごもっともな指摘をあちこちから受け、

その対策としてSNSというものをいろいろと研究してみるのだが、

この活用が、また難しい。

 

まず、第一関門

私はIT音痴。スラバは輪をかけて音痴。

 

第二関門

私たちは日露間を行き来する生活で、

しかもロシアでは、世界的に有名なSNSの多くが使えない。

たとえVPN活用で乗り切れたとしても、接続はたぶん不安定。

 

第三関門

機材面で、まだまだ必要最低限のものしかない。

 

第四関門

世にもてはやされているインスタなども続けるべきだとは分かっているが、

インスタは美しく更新するハードルが高い上、今は以前のように更新を丸投げできる人がいない。

それ以前に、すでに自分のツイッター、フェイスブック、ブログに加え、

スラバのサイト2つ、ブログ、ツイッターの管理や更新であっぷあっぷしている。

 

第五関門

スラバにもっと任せたいが、彼はまだ日本語で投稿できない。

 

第六関門

私はPCやスマホの画面を見過ぎると目がかすむ。

 

第七関門

基本的にスラバも私もできれば創作に没頭したいタイプ。

 

虹のように重なるさまざまな関門を超えて、向こう側にいけるのはいつの日か。

全部クリアは無理でも、せめて、三つくらいはクリアしたい。

先は長い……

 

いや、降参してしまえば短いのだが、

ここは私らしく、のんびりマイペースで、

でも、ほどよく鈍感かつ向こう見ずに……

 

 

 

 

 

 

 

「ユーラシア後ろ歩き」、第二回掲載

都築響一さんの会員制メルマガ(有料)、

roadsiders.com

の最新号(2024年02月21日 Vol.585)に、

現在連載中の「ユーラシア後ろ歩き」の第二回が掲載されました。

タイトルの名に恥じぬよう、悪夢や風邪にうなされながらも動き続けます。

時間も空間もダイナミックに越えていくわりには、行き先が謎ですが。

貴重な(?)ビデオもぜひ。

 

先回出演した深夜便の聞き逃しサービスのリンクも貼りたかったのですが、

締め切りや開店準備に追われているうちに、

配信の機嫌が過ぎてしまったようです。

ごめんなさい。

 

Slava Carotte Shop がいよいよオープン!そして、吉田寮と旅の話。

今日は、おめでたい日です。

いよいよ、スラバのアート・グッズを売るネットショップ

slavacarotteshop.com

が開店しました。まずは春まで開店してみます。

その後も注文は受け付けますが、

秋まで商品の発送はできない可能性が高いです。

 

準備には、長い長い時間がかかりました。

「3歩進んで2歩下がる」どころか、

「3歩」も「4歩」も戻らなきゃいけないことがあり、

泣きべそかきかけたこともありました。

 

私はIT関係が大いに苦手で、

新しい電子機器やソフトなども、

最後の最後、

使わないとどうしてもぜったいに不便、

というところまで追いやられないと、

使い始めないことが多いのです。

 

ノートブックパソコンやスマホを買ったのも

周りよりだいぶ遅かったし、

電子書籍も、海外にはあまり本を持っていけないという事情から、

他に選択肢がなくなるまで、ほとんど買いませんでした。

 

だから、そんな私がネットショップを頑張って開いたのも、

正直に言えば、必要に迫られたため。

 

フリーランスは収入が不安定というのは、よく知られていることですが、

私たちはそれに「移動が多い」という不安定さも加わります。

しかも私は足が悪いし、スラバは日本語がまだまだ。

住んでいるのも地方都市の端っこ。

 

そうなると、何か自分で新しいことを始めねば、

という気持ちになり、思いついたのがネットショップ。

でも、Eコマースなんてまったくの専門外なので、

始めようとは思っても、

なかなか勢いがつかずにいました。

 

ちょっとずつ情報を集めたり、

売れる商品を準備したりはしても、

なかなか開店にまでは至らず、

うろうろぐずぐず。

 

重い腰が上がったのは、年初のこと。

新しい連載のテーマが「旅」だったこともあり、

スラバも私も、ものすごく

「もっと旅に出たい!」と思ったからです。

それならば、ちょっとずつでも何かしないと。

 

そう思っていた時に飛び込んできたのが、

吉田寮をめぐるニュース。

 

吉田寮をめぐる訴訟で、寮生が勝訴したのです。

建物の老朽化を理由とした

大学側の明け渡しの要請に応じず、

吉田寮に住み続けていた寮生が、

大学側から訴えられていたのですが、

このたびの判決で、住み続ける権利が認められたのでした。

 

ちなみに、感覚的なものですみませんが、

吉田寮、老朽化していて補修もぜったいに必要とはいえ、

もともとはいい建材を使っているので、まだ結構丈夫そうです。

阪神大震災の時も、壁の土が少し落ちただけでした。

当時のルームメイトなどは、目も覚まさなかったほど。

 

吉田寮を出た後に住んでいた民家の方が、柱は細かったし、

人が歩いた時の振動などもずっと大きかった、

という記憶があります。

 

今年のお正月に一度、吉田寮を見に行っていた私は、

心から寮生を応援していたので、

判決を聞いて、とてもほっとしました。

たまには未来に希望が持てることも起こるものだ、と。

 

直後にナワリヌイが死んで、

嬉しさは相殺されてしまったけれど……

 

なぜこの話を出したかというと、

じつは私が学生時代に吉田寮に住もうと思ったのも、

旅に出たい気持ちと関係があるからです。

 

古い建物が好きというのも大きな理由でしたが、

寮に住むことで住居費を浮かせて、

遠くへ旅に出たいと思ったのです。

 

妹二人が大学進学を控えていて、

無駄遣いは厳禁だとはわかっていたけれど、

私はいろんな世界が見たくてたまらなかった。

つまり、とっても海の向こうを見に行きたかったのです。

 

ロシアから日本に帰るたびにつくづく思うのは、

日本は「ただ暮らす」だけでお金がかかりすぎる、ということ。

光熱費も水道代も食費も、何でこんなに、と思うほど高い。

 

その高さに圧迫されて、仕事や趣味に関わる出費、例えば

定期購読しているものや習い事や取材旅行などを

諦めなきゃいけなくなったりすると、

何とも言えず悔しい。

 

学生なら余計に悔しいはずです。

だって、いちばんいろんなことに興味を持ち、

あれこれ吸収すべき年頃なのだから。

 

仕事の経験を積んだ者なら、それを生かして仕事をすれば、

何とか状況は好転するかもしれないし、

親がお金持ちの学生だって、何とかなるかもしれない。

でも、そうでない学生は、

「やりくり」のためのバイトで忙殺されてしまう。

ただ「普通に暮らす」ためだけのために。

 

だから、世の中には、吉田寮のような場所が必要なのです。

無くても何とかなるけれど、

あった方が絶対にいいのです。

 

というわけで、そんなに甘くはないでしょうが、

ショップの運営も頑張ります。