イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

2019-01-01から1年間の記事一覧

北海道新聞に書評

ご報告が遅れてしまいましたが、 12月15日(日曜日)の北海道新聞に、『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』の書評が掲載されたようです。 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/375090?rct=s_books 著者の麻生晴一郎さんは、ご自身も中国関係の名著を何冊…

二人の魂を悼む

つい最近、マクシム・ウシャコフと、イーゴリ・ジャンという、 創造の活力にいつも満ちていた二人の友人の魂が、 文字通りたて続けに、あの世に去ってしまった。 マクシムのクレイアニメ作品は、ちょっとユーモラスで、不条理で、かなり不気味でもあるのに、…

写真でメモ 氷の世界で氷で遊ぶ

おとぎ話の中の世界のような、雪の森を眺めながらたどり着いたのは、 氷のジャンボすべり台、童心に帰るのが怖いほどスリリング。 帰る時は、憑き物が全部とれたような気分でした。

ジョン・レノン追悼コンサート

じつは現在、私の友人には熱烈なビートルズ・ファンが多く、 私もビートルズはとても好きなので、関連の記念日のたびにパーティの手伝いをしています。 先日は敬愛するジョン・レノンの命日だったので、 現在のパートナーで、天性のお祭り男でもある画家、ス…

イルクーツクのグラフィティ おまけ編その3

久々にイルクーツクのグラフィティの話題をば。 ただその前に一つ、お知らせです。先日刊行された拙著『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』の重版が決まりました。 いろいろな形で本書の出版、販売を支えてくださった皆さんに、心から感謝の気持ちを捧げます…

古鎮・老街 補記4 聖なる古樹の村-広西・黄山編

このたび亜紀書房より出版された拙著『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』の補記、その4です。 何でも来いの頼もしさ、古樹にかける俗世の願 古樹にまつわる記憶を、もう少し書いてみたい。 ちょうど今から10年余り前、広西チワン族自治区にある大蘆村とい…

聴き逃しサービスで「シベリアの冬支度」について

海外からは聴けないので、自分では確認していないままで恐縮ですが、先日予告させていただいた、NHKラジオの番組「マイあさ!」の「海外マイあさだより」でのレポート、こちらから10日の放送分をクリックしていただければ、5時40分台から聴けるようです(配…

毎日新聞に書評掲載

11月10日付の毎日新聞に、拙著の書評が掲載されたようです。無料版はさわりだけとなりますが、簡潔にまとめてありながら、丁寧に読んでくださったのが伝わってきて、たいへんありがたいです。

シベリアの冬支度

明日の朝、5時40分台に、NHKラジオの番組「マイあさ!」の「海外マイあさだより」というコーナーで、シベリアの冬支度についてお話しします。ご興味があれば、どうぞ。 冬支度といえば、この間、アンガラ川で見かけたマガモたち。 彼らも、恐らく冬支度の最…

古鎮・老街 補記3 聖なる古樹の村-北京密雲編

このたび亜紀書房より出版された拙著『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』の補記のつづきです。 伝説に守られた聖木 北京で最古の樹齢を誇る木があると聞き、ある日、密雲県の新城子という村を訪ねた。北京と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは大都市のイ…

朝日新聞に書評

今日10月26日の朝日新聞に、『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』の書評が掲載されたようです。 評者は出口治明さんです。 https://book.asahi.com/article/12825103 変わらないことは、難しいとタイトルにありますが、私は変わることの良し悪しより、変わり…

「NHKラジオ深夜便」でロシアの学校についてレポート

報告が放送の後になってしまいましたが、NHKラジオ深夜便の10月12日の午前0時過ぎの放送で、ロシアの学制や始業式、大学の寮などについてお話ししました。留学時代の体験も交えています。聴き逃しサービスで10月22日まで聴けるようなので、ご興味があればど…

古鎮・老街 補記2 広州の漢方市場

秋らしい日が続いたイルクーツクだが、さすがに10月も半ばを過ぎると、だいぶ寒くなってきた。熱々のスープがおいしくなる季節には、絶品スープが家庭の食卓に並ぶ、広州の話題をば。 (2005年と2014年に広州の漢方市場を訪れた時の印象から) 生活に根差し…

古鎮・老街 補記1 2005年の香港を追憶

18歳の頃に東京の街中をあてもなく歩いた頃から始まって、古い街並みのなかをぶらぶらと歩くことは、すでに私にとっては人生の不可欠な一部となっている。 なので、以前17年近く住んだ中国についても、この秋に上梓した『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』…

『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』いよいよ発売

中国の歴史ある街なみの数々を巡るなかで、 見聞きしたり考えたりしたことをまとめた拙著、 『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』 が亜紀書房さんより発売されました。 遅くとも30日までには全国の書店に並ぶだろうとのことです。 中国各地の28の古鎮に言及…

イルクーツクのグラフィティ おまけ編その2

イルクーツクの街中で見つけたグラフィティ。 「おまけ」シリーズ第二弾の今回は、 ちょっぴり(だけね)ホラー編。 まずは、異星人に出会えた興奮を味わえる、こちら。 一方、こちらの方は、 たぶん幽霊じゃないのに、足がない・・・ そしてこちらも、 もと…

『小説導熱体』に達智橋胡同をめぐるエッセイ

現代の中国文学を紹介する雑誌『小説導熱体』に、北京の胡同についてのエッセイを寄稿しているのですが、 今年8月に発売された第2号には、達智橋胡同についてのエッセイが掲載されました。 達智橋胡同と清末の維新派や、老舎の小説を映画化した『我這一輩子…

「海外マイあさだより」でモスクワ旅行記(補)

先日NHKラジオの「マイあさ!」という番組でお話ししたことですが、9月24日の午後5時までは、以下の「聞き逃し」サービスで聴けるようです(海外からは聴けないので、試してはいないのですが)。 https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=564…

限りなく日常に近い祝日

昨日の選挙の話題に関して、もう一つ。 聞いた話では、こちらでは、選挙の日はしばしば、近所の人を誘い合って飲み会になる日なのだという。 つまりは投票できる日だということを祝う、祝日のようなものらしい。 ゆえに、人々はいつもより着飾って選挙に行く…

「海外マイあさだより」でモスクワ旅行記

またまた直前の報告で恐縮ですが、明日の朝5時40分台にNHKラジオ第1の『マイあさ!』という番組の「海外マイあさだより」で、この夏のモスクワ旅行についてお話します。 実は、モスクワ旅行中には一つ、印象的なことがありました。選挙の不公正さに抗議した…

拙著『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』、アマゾンで予約可能に

北京滞在中、中国各地の古い街や村で行った取材をまとめた拙著、 『中国 古鎮をめぐり、老街をあるく』(亜紀書房) いよいよ アマゾンでの予約 が可能になったようです。 発売されましたら、また詳細をお知らせしますが、 今回も、取材先で出会った方々はも…

イルクーツクのグラフィティ おまけ編その1

7月末から8月は長旅に出ていました。 その後も、新しい本の出版を控えていたりするため、 仕事がいろいろとあって、ブログがなかなか書けない毎日です。 ごめんなさい。 せめてもの埋め合わせに、 先日書いたイルクーツクのグラフィティの記事のおまけとして…

Artscapeのフォーカス欄·イルクーツクのアートについて

https://artscape.jp/focus/10156237_1635.html?fbclid=IwAR3eKAOr_Xx0fBJC8gcHVE7NojmkBLjaon7-kdSC4TpyAnXxHpp2NazS2VI イルクーツクのアートについての最初のレポートが掲載されました。こちらの壁画やグラフィティには、ほんとうに興味が尽きません。

海外マイあさだよりで夏の話題

遅すぎるお知らせで申し訳ありませんが、 明日、日曜日の午前5時42分頃から、NHKラジオの番組、『海外マイあさだより』に出演します。 今回はイルクーツク州での洪水被害と、夏の過ごし方についてです。 シベリアにあるので涼しそうなイメージがあるかと…

地続きならではの、そっくり料理

こちらに住み始めて、しばしば感じること。 それは、たとえ国境線がしっかりと引かれていても、地面がつながっていると、食文化もやっぱり近くなるんだということ。 なぜなら、シベリアでよく食べられている料理には、北京で食べた料理を思い出させるものが…

ラジオ深夜便にて 最後のベルと夏休み

ご報告が放送の後になっていまい、恐縮ですが、 7月6日0時台のNHK『ラジオ深夜便』で、イルクーツクの学校が迎えた「最後のベル」や、こちらの人々の夏休みについてお話ししました。 私自身は海外にいるので利用できないのですが、 「聴き逃しサービス」…

悪路を行くシルクウェイラリー

先日、ウラジオストックからサンクト・ペテルブルグまで車で駆け抜ける途中だと言う人を紹介され、ロマンチックな人がいるものだと感心した。 だがそれに負けぬロマンチストたちが、まだまだ山ほどいるようだ。 イルクーツクはしばしば『シルクウェイラリー…

イーヤ川の氾濫

こういうことは、やはり早めに書いた方がいいと思うので、まだ詳しい情報は集まっていないので恐縮だが、知っている範囲で記しておこうと思う。 実は今、イルクーツク州の一部で川が氾濫していて、ニュース報道を見る限りでは、被害はかなり深刻だ。 イルク…

イルクーツクは川の街

イルクーツクは川の街でもある。 そもそも、名前の由来が、アンガラ川の支流であるイルクート川だ。 イルクート川は、イルクーツクの街の中心部に寄り添うように流れるアンガラ川の途中から、そっと、控えめに始まる。 バイカル湖から流れ出る唯一の川である…

さようなら、プーフ

先週、ようやく綿毛の季節が終わった。 同じユーラシア大陸にあり、気候にも近い点があるからだろう。北京の春の風物詩だった柳絮や楊絮、つまりポプラ科の木々が放つ綿毛状の種は、イルクーツクでも盛んに飛ぶ。 街路樹や、イルクーツクを守るように街の周…