イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2025多田麻美

シネマネコと『名無しの子』

青梅にいる以上、ぜひ行きたい、いやできれば通いたい と思っていた場所があった。 シネマネコだ。 昭和初期に建てられた繊維試験場が 街の映画館へと生まれ変わったもので、 東京で唯一の木造建築の映画館らしい。 さっそく入り口をくぐってみると、 さすが…

芸術のパラドックス

先回ご紹介した『女性たちのいる美術史』ですが、 手にした方からけっこう「びっくりした!」との声が。 その一部は恐らく、私が以前関わった書籍と比べ、 今回の書籍がとてもカラフルな上、イラストがとても豊富で 時にマンガ風のレイアウト というところか…

『イラストで出会う 女性たちのいる美術史』いよいよ発売!

拙訳による、 www.filmart.co.jp 紙媒体・電子書籍とも、いよいよ本日発売です。 イラストが豊富で内容もぎっしりなので、 休憩時間などに寛ぎながら読むことができる本だと思います。 興味のある方はぜひ手に取ってご覧ください!

駆け足で芸術の秋 美術と文学と映画と

詳しく話すと長くなるが、 先月、日本滞在中の拠点を青梅市に移した。 なぜ青梅市?とよく言われるが、 最大の、でも意識の最奥に隠れた動機は、 たぶん子供の頃から梅干しが大好きだったからだろう。 何せ、青梅市は名前通り、梅で有名なのだ。 青梅市は東…

『イラストで出会う 女性たちのいる美術史』間もなく刊行

昨日、新しい訳著の見本が届きました。 とても美しく刷り上がっている上、魅力的なイラスト入りなので、さすがの親しみやすさ。 取り上げられている女性芸術家たちが熱量を放っているかのような存在感です。 11月26日発売なので、12月前半には店頭に並ぶこと…

個展「スラバ・カロッテの虹」無事閉幕しました

報告が遅くなってしまいましたが、10月に開かれたスラバ・カロッテの個展、盛況のうちに無事終了しました。 雨の日も少ない中、多くの方に足を運んでいただき、心より感謝しています。懐かしいお顔、新たにお知り合いになった方々、どのご縁もとても貴重で、…

展覧会「スラバ・カロッテの虹」&てんてこまい

何と、前回のブログから2カ月も経ってしまいました。 取り急ぎ近況を。 まずその①10月18日からスラバの個展が始まります! スラバ・カロッテ絵画作品展 Slava Carotte Solo Exhibition スラバ・カロッテの虹 ~平和への祈り~ 10月18日(土)~26日(日) 12時~…

「ユーラシア後ろ歩き」更新のお知らせと、トークのお知らせ

まずは連載をめぐるお知らせです。 都築響一さん主宰のメルマガROADSIDERS'weeklyに連載中の 「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 今回も先回に続き、廃墟が登場。さて何が見つかるでしょう? じつはこの連載、そっとクライマックスに入っています。 …

コーリャ・ワーシン生誕80周年

ロシアを代表するビートルズマニアだったコーリャ・ワーシンの、 生誕80周年を記念したドキュメンタリー映画 Kolya Vasin "I Am the Walrus" がYouTubeで公開されました。 制作したのは、ジョアンナ・スティングレイ。 1980年代にソビエトのロック音楽を西側…

「ユーラシア後ろ歩き」更新とネットの不調

まずは、連載更新のお知らせです。 都築響一さんのメルマガ ROADSIDERS' weekly にて連載中の「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 今回も先回に続いて、複数の顔をもつ、シベリアの町を歩きます。 ○●○●○●○●○● 前から感じてはいたが、最近さらにしみじ…

「ユーラシア後ろ歩き」更新と短くも気まぐれなシベリアの夏

都築響一さんの有料メルマガROADSIDERS' weeklyにて連載中の 「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 安徽の洞窟の話は、長年心の中で温め続けてきたテーマ。 さすが洞窟は、比喩的な意味でも、奥が深いです。 シベリアの夏は気まぐれだ。 驚くぐらい暑…

ラジオでお話した内容とシルクウェイラリー

金曜の夜にNHKラジオ深夜便でお話した内容、 以下の聞き逃しサービスで7月19日(土)午前1:00 まで聴くことができるようです。 プレーヤー | NHKラジオ らじる★らじる 今回のテーマは動物愛護。特に野鳥保護について。 じつは私の周りには驚くほど動物好き…

私をアルタイに連れてって!

我が家はイルクーツク市の行政の中心がすぐ近くにある。 先日のベラヤ基地のドローン攻撃以来、 首都、地方を問わず、 軍事的にはもちろんだが、政治的に重要な地区に住むというリスクについても、 考えるようになった。 とりわけ、現政権とも近い、モスクワ…

ユーラシア後ろ歩き更新+今晩のラジオ深夜便でお話しします

都築響一さんの有料メルマガROADSIDERS' weeklyに連載中の 「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました、 地中に潜り、ふたたび中国にも飛びますが、じつはまもなく山場です。 また、ギリギリのお知らせとなってしまいましたが、 今晩深夜12時台のラジオ深夜便…

ラジオの聞き逃しサービス&夏至の夜の白夜ブルー

バタバタしていたので、事前のお知らせができず、申し訳ありません。 土曜の朝のNHK「ラジオマイあさ!」で、 最近、イルクーツクっ子を驚かせた2つのショッキングな事件について お話ししました。 以下の聞き逃しサービスで聴けるようです。 5時45分前後だ…

魚の青と空の青

まずは続報。以前、当ブログで紹介した「RYOSHI」缶詰。 近くのスーパーでは長らく売り切れ状態だったが、 別のスーパーでたまたま見つけたので、 試しに買って食べてみたところ、 ほとんどクセのない、あっけないほど普通のツナ缶だった。 ただし、「漁師」…

連載「ユーラシア後ろ歩き」の更新とホッケー・ファンへの衝撃

都築響一さん主宰のメルマガROADSIDERS'weekly に連載中の「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 早くも33回です。 入子型のお話なので、読んでいると、途中で方向を失うかもしれませんが、 それもお話の一部になっています。 先回がちょっとエクストリ…

ウソリエ・シビルスコエからの電話(補充版)

まずはお知らせ これまで当ブログはFacebook, Xと連携させてきましたが、安定した連携が難しくなったため、Blueskyとの連携を始めました。 https://bsky.app/profile/asamitada-writer.bsky.social ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ 先日、急にネットの規制が厳しくなった時、 …

爽快な贈り物 (クイズの答え)

某SNSに、謎解き系コメントとして出したクイズの答えです。 答えをお急ぎの方は、写真のところまで読み飛ばして下さればと思います。 日本時間夜9時に答えを公表するとお約束していたのに、 ドンピシャリのタイミングでインターネットが繋がらなくなり、 携…

連載更新のお知らせと、花のイルクーツク

ROADSIDERS' weeklyに連載中の「ユーラシア後ろ歩き」。 32回目にあたる今回はドッキリしんみりのお話。 亡き友人と、生前の友人のような暮らしをしている多くの人々に捧げました。 有料メルマガですが、コンテンツがとても充実した媒体ですので、 興味のあ…

ビリージョエルの誕生日と交通規制と子供鉄道

昨日、私たちにとってとても大切な記念日を祝った。 といっても、対独戦勝記念日のことではなく、 ビリー・ジョエルの誕生日。 音楽好きの仲間同士で必ず祝う記念日の一つだ。 でも、この日は近年、ロシアがとみに力を入れて祝っている記念日と同日。 つまり…

連載の更新と突然の訃報

有料メルマガ、 ROADSIDERS' weekly . に連載中の 「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 今回は、けっこうひやっとさせられる話がてんこ盛り。 夏の準備?の肝冷え系ということで、タイトルも「幽霊がいっぱい」。 イルクーツクもやっと春らしくなり、 …

人生に数学は必要か

正直を言えば、私は数学が苦手だ。 10歳ぐらいだった頃に算数の授業で、 あれ、解らない! と心底焦った瞬間から、苦手意識をひきずり始め、 今に至る。 それでも、大学に入るまでは、 何とか学ぶことを放棄せず、解ろうと努力した。 理由は単純。 親に「大…

復活祭の朝に考えたこと

昨日20日、復活祭の週が始まった。 今年は、もともとは異なる暦に基づいて祝われている、 カソリックと正教会の復活祭が、 たまたま同じ日に重なる。 これを機に、いい意味で両者の間の垣根が取り払われ、 対話が進む年になって欲しい。 何と、復活祭の前日…

猟師のツナ缶

楽しいおむつに受けている場合ではなかった。 今日、スーパーをめぐっていたら、こんな商品が。 名付けて、猟師のツナ缶! 考えたら、私たちが海産物を食べられるのは、 猟師さんたちの並々ならぬ苦労があってこそ。 そういう当たり前のことに、改めて気づか…

「ユーラシア後ろ歩き」更新のお知らせと、気候のジェットコースターと、楽しいおむつ

翻訳やら小旅行やらで、先回の投稿からだいぶ時間が経ってしまい、 申し訳ありません。 スラバも私も仕事は順調なのですが、 いくつかの仕事や私事が同時進行しているので、 なかなか息をつくタイミングがつかめない毎日です。 そんな中お陰様で、有料メルマ…

「ユーラシア後ろ歩き」更新のお知らせと、美しくも恐ろしい「つらら」

しばらくかなり締め切りのきつい翻訳の仕事をしていたので、 前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまって恐縮です。 書きたい事はいろいろとありますが、まずは今日、有料メルマガ ROADSIDERS' weekly . に連載中の『ユーラシア後ろ歩き』が更新されたので、…

artscapeで北京の展覧会を紹介

駆け足でしたが、今年1月に北京に立ち寄った時、 素晴らしい展覧会に出会ったので、 ARTSCAPE向けに記事を書いてみました。https://artscape.jp/article/32153/ 今回は中国語版にもチャレンジしました。 https://artscape.jp/article/32540/ ネイティブチェ…

「ユーラシア後ろ歩き」第26回掲載のお知らせと、街角の声

まずお知らせです。 会員制有料メルマガRoadsiders' weeklyに連載中の、 「ユーラシア後ろ歩き」が更新されました。 ユーラシア大陸を東へ西へ彷徨い、 ある時はフィンランド、先回などは一瞬NYへ。 そしていよいよ! というか誰も期待はしてなかったかも…

『ファンキー中国』刊行のお知らせと、ラジオで価格高騰や温暖化のお話

近況のご報告です。 まず、 tokosha.stores.jp という、中国文化をテーマにしたアンソロジー本が灯光舎より刊行されました。 私は、北京の現代アート、とくに芸術区の変遷について書かせていただきました。 親しみやすい切り口の上、執筆陣は中国文化に深く…