昨日は、「主の洗礼祭(クレシェーニエ)」と呼ばれる日だった。
何をする日かといえば、このように
パンツ一丁になって氷の中で沐浴をし、身を清める日。
また、教会などで聖水を汲み、その水を家で大事に保存する。
この水は、一年置いておいても腐らないとされており、
飲むと体にもいいという。
由来は、ユリウス暦で1月6日にあたるこの日が、敬虔なロシア正教徒の間で、
預言者ヨハネがイエス・キリストに洗礼を施した日とされていること。
寒中水泳については、北京に住んでいた頃も、冬に湖の氷を割り、その中で泳ぐ人を何度も目にした。
体に良い、と信じられているのはどちらも同じだが、
北京での寒中水泳が、健康とか鍛錬のためのみであったのと比べ、
ロシアのクレシェーニエには、聖なる行事という厳かな側面がある。
この日、沐浴者は頭を氷水の中に3回浸けるのが決まり。
親がまだ小学生くらいの子供を抱きかかえ、
水の中を否応なく潜らせているのも目にした。
いくら一瞬だけとはいえ、
観ているだけで自分まで凍えそうな気がしてくる。
しかも、沐浴の後は、温かい車内ですぐに乾いた服を着るのがベストだが、
場所によっては、駐車場までけっこう遠い。
そんな場合は、とにかくダッシュ!!
何せ、外の空気はマイナス十何度だから、
外は水の中よりずっと寒い。
ただ、さっきまでぶるぶる震えていた人でも、
体が乾き、しっかり服を着て、熱い飲み物を飲めば、
けっこうすぐに体温が回復するようだ。
数分後には、ケロっとした顔でタバコを吸っていたりする。
いずれにせよ、ここまですれば、
煩悩など空の彼方に吹っ飛び、
体の中もすっかり洗い流されたと感じるほど、
徹底的な気分転換ができることだろう。
こういったお清めの沐浴は、
日本風に言えば「みそぎ」ということになるだろうか。
ちなみに、いかに酒豪の多さで知られるロシアでも、
沐浴の後は「通常」、お酒を飲まないらしい。
ロシアの長い長い新年&クリスマスのシーズンも、
この日あたりで、やっと終了。
寒風の中で氷漬けになるなんて、私にはとても無理そうだが、
呑兵衛たちがウォッカへの恋慕を断ち切り、
地をはうアメーバのようにとろけきった気分を奮い立たせるには、
これぐらいはしないと、無理のような気もする。
もっとも、現実は厳しい。
じつは上に掲げた写真は去年のもの。
今年は、「二日酔い」を理由に、
車を運転できる友人が誰も車を出さなかったので、
スラバ自身は張り切っていたのに、
クレシェーニエの沐浴は、
我が家では実現しなかった。