イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

生活

多難の中のチャンス

展覧会やライブペインティングの手伝い、フォトショップの練習、 そして新しい自著の出版、さらにはグッズづくりや露店の出店。 ここ2か月でいろいろなことにチャレンジした。 本職何だったっけ、と言いたくなるくらい。 そもそも、物を書くだけでは物は書け…

『シベリアのビートルズ』本日発売

昨年二回、わたしは死ぬかもしれない、と思うことがあった。 一度目は、マスキン水に対するアナフィラキシーショックで、救急病棟に運ばれたとき。 急に胸のあたりがしびれ、息が苦しくなり、血圧も下がっていくのが感じられて、「どうなるんだ、私?」と思…

『シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす』まもなく発売

記念すべきジョン・レノンの生誕82周年の日にこのお知らせができることを、 とても幸運に思っています。 いよいよまもなく発売される新著『シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす』の見本が届きました。 19日発売で、もう予約も可能のようです。表紙の…

再放送分 期限は明日まで

先回ラジオでお話した内容です。 今のロシアの緊張感はさらに高いのですが、期限もあるので参考までに視聴可能なリンクをお知らせします。 残り11分のところから始まります。明日までは視聴可能のようです。 https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.ht…

魚食べてる場合じゃない

呑気なことを書いていると、ぜんぜん呑気じゃないことが起きる、 ということはこれまでも何度かあったが、これほどのことは初めて。 今日、私用で一日、外に出かけていた後、家に戻ると、 ロシアの友人から電話があり、ロシアでも、 戦時の動員が始まると知…

番組の再放送&暑いけど魚がおいしい日本

取り急ぎ、お知らせです。 先週末、NHKラジオの番組「マイあさ!」で イルクーツクの今についてお話ししたのですが、 その内容が、9/20(火)、つまり明日の午前8時15分頃に再放送されるそうです。 さて先日、 ウランバートルを経て、またまた日本に帰国。 ま…

エフトゥシェンコ

イルクーツク州出身の詩人の、 古びてほしいけれど、 いつまでも古びてくれない詩

しぶとく即物的なマテリアル・ワールド

これは、現実の世界の話だ。SFでも、ディストピア小説でもなく、 ただ、普通のスーパーで起きていること。 抜け穴があるのか、在庫処分をしているのか、イルクーツクに戻ってからも、 スーパーの棚にはまだまだ外国産の商品があり、意外に思っていたのだが、…

猫が飛ぶのも運次第

今回、イルクーツクに戻った理由はいくつかあるが、その一つが、 愛猫ガーニャをいつでも日本に連れて行けるようにしておく、ということ。 つまり、狂犬病の予防注射などを打って、 証明書などを揃えておきたかったのだ。 今のところは日本への本帰国を考え…

頼みもあだも……

目をちょっと凝らしてみる。 すると気づくのは、小さな変化の数々。 半年いないうちに、イルクーツクの町はマイナーチェンジしていた。 例は挙げればきりがないのだが、微小ながら、 けっこう社会の在り方と関わっているものもあったりする。 例えば、スーパ…

ウランバートルの印象

まず、お知らせです。 明日22日の日本時間午前5時42分頃から、 NHKラジオの番組、『マイあさ!』の 「海外だより」というコーナーで、 先日ウランバートルで目にした風景についてお話しします。 マイあさ! - NHK ウランバートルで一番印象に残ったのは、 結…

笑えない冗談

平和だった頃に立てた、イルクーツクに戻る計画。 長らく延期を余儀なくされていたが、 やっと何とか戻れそうな目途がついた。 こんな時期になぜ戻るのか、と言われても仕方ないが、 生活者として、向こうに家があり、ペットもいる。 ビザや夫の運転免許など…

花も団子も芸術も

先月始まった、スラバ・カロッテの個展『Paintings with Books』、 お蔭さまで多くの方々に支えられつつ、開催中です。 展示は少なくともあと1か月は続くかと思います。 ここが入り口です。 今回は販売もしています。拙著も便乗。 美味しいコーヒーで一息。 …

外国語について思うこと&4月から新連載

外国語、ガイコクゴ、がいこくご どう書いても、お堅くて、頑固そうな言葉。 学ぶのがたいへんなのも、分かる気がします。 でも、まるで大本営発表のようになってしまった、 ロシアの国営放送のニュース番組を耳にするたび、 母国語以外でニュースを見聞きで…

ラジオでお話ししたこと

先日、マイあさラジオでお話しした内容、以下で3月19日の午前5時55分まで聴けるそうです。45分目くらいから始まります。 https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=5642_06_3765964

「海外マイあさだより」でイルクーツクの話題

いつもぎりぎりのお知らせですみません 明日、12日早朝、NHKラジオ「マイあさ!」という番組の「海外マイあさだより」というコーナーで、シベリア在住者の目から見た昨今の情勢についてお話しします。 恐らく、5時46分前後から始まります。 https:w4.nhk.…

言葉を失っている場合じゃないが

ウクライナで戦争が始まってから、 いろいろなニュースやSNSを見ては、心落ち着かない日々を送っている。 なるべくいろいろな媒体の情報に接するようにしているが、 結局、どの情報をどこまで信じていいのか分からず、 情報欠如の闇は広がるばかりで、 立ち…

あったりなかったりする人

出会ったばかりで、また別れ。 義足とのつきあいは、ちょっとじりじりさせられます。 なぜなら、義足というのは、 さあ、できました、 と一気に完成するわけではなくて、 立った時にふらふらしたり、ひどいガニ股になったりしないよう、 さまざまな微調整が…

ラジオ出演のお知らせ

今日の深夜、つまり19日(土)の 午前0時27分頃から、NHKラジオの『関西発ラジオ深夜便』の「アジアリポート」というコーナーでイルクーツクの治安についてお話しします。

温帯でとこなつ体験

先日、新しい足が来た。 つまり義足ができた。 義足を着ける前と着けた後で、 近所で時々会う人の反応が違うんじゃないかと思ったが、 あっけないくらい何の反応もない。 足を見て、「おっ」と言われたら、 「いやあ、じつは生えて来たんですよ」 と冗談を言…

供養された足の話

しばらくブログが開店休業状態になってしまいました。 あまりにドラマチックなネタに遭遇すると、 慎重になって、どこから書こうかと考えあぐねてしまうのです。 手っ取り早く状況を紹介すると、昨年末に持病の足の手術をし、 右足をばっさり切りました。 戦…

新年のご挨拶&ラジオでロシアの遊びの話

久々に、今年は年賀状を送りました。 「時代に逆行、アナログ大作戦」 と、勝手に盛り上がり、以前お世話になっていて、 連絡先が手元にある方々に次々と送ったのですが、 昨年末は、足の大きな手術をするために入院中で、 手元にすべてのアドレス帳がなかっ…

QRコードおじさん

先回、ラジオでお話ししたように、 現在、イルクーツクを含むロシアの都市では、 ワクチン接種済みを示すQRコードなどがないと、 大型の公共施設や商業施設、 および食品や医薬品以外を売る店に入れない、 というシステムの導入が進んでいる。 となると、こ…

聞き逃しサービスのお知らせ

11月5日の晩にお話しした内容ですが、以下の「聞き逃しサービス」で聴けるようです。 「ラジオ深夜便」は、以下のページの2つ目の録音の冒頭から2分後くらいから、 https://www.nhk.or.jp/shinyabin/k5.html 6日早朝に放送された「マイあさ」は、以下のペー…

ラジオ出演のお知らせ

今晩、深夜0時10分から、NHK「関西発ラジオ深夜便」の「アジアリポート」というコーナーでシベリアのお茶についてお話しします。 また、明くる早朝5時44分からも「マイあさ!」という番組の「海外マイあさだより」というコーナーで最近のイルクーツクと民間…

包帯も適材適所

事情があって、包帯をよく使う。 よく使うので、よく買う。 じつは最初にロシアを訪れたときに驚いたのが、 薬局で売られている包帯の質だった。 たいていの品物の質の悪さには動じない私もつい、 これを「包帯」と呼ぶなんて恥ずかしくないのか? と思って…

コラム更新のお知らせと大陸を横断しなかった麺のお話

集広舎のホームページに連載中のコラムが更新されました。 ロシアの広さを知る《シベリア鉄道の旅》その2|集広舎 細かすぎて盛り込めなかった話題もいくつかあり、 その一つがハバロフスクのラーメン文化の成熟ぶり。 日本とほとんど変わらない味のラーメ…

ゆうれい広告

我が家の近所には、 ちょっと中途半端な空間がある。 そこは、 曲がり角の見晴らしを良くするためにしては ちょっと広すぎるけれど、 休憩用の場所でもなさそうだし、 そもそもベンチも花壇もない。 集合住宅の壁に優雅な影を落とす、 一本の木が生えている…

夏の傷を癒す秋

正確な言い回しは思い出せないのだが、 「自然に『異常』ということはないんだよ」とこちらの人が言っていて、 頷かされたことがあった。 確かに、人にとっては異常な災害をもたらす嵐や洪水も、 大自然にとっては、「自然」なことだ。 だがそれでも、今年の…

夢の中の額縁

この間見た夢。 夢の世界で額縁を作っていたのだが、それが複雑な額縁で、なかなか完成できない。 それで、「悪いけど作り終えるまでは目を覚ませないの」って、 すでに起きている画家の夫に必死で弁明。 目を覚ました時、何か、意識の奥底から引きずり出さ…