イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

キノコとイソギンチャクはどこか似ている

昨晩、日付が明けた後の零時10分から、NHKラジオ深夜便アジアリポートで、

先日起きた地震とキノコ狩りについてお話ししました。

生放送ではあったけれど、こちらの聞き逃しサービスで聴けるもよう。

ラジオ深夜便 聴き逃し- NHK

 

地震とキノコは、地面繋がりということで、

何となく飛躍なく話せるテーマだと思ったんだけど、

どうだろう?

 

ちょっぴり視覚の情報を補足ということで、

こちらは、番組でも紹介したキノコ狩りの時の風景。

 

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これは美味しいキノコ。

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これはたぶん食べられないキノコ。

 

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こちらも食べられないキノコ。

形じたいに惹かれだすと、食べられないキノコ、というのも

何かつっぱっていながら、自然体でクールだ。

  

結局、運動不足の疲れやすい体で、

よそ見やいらん観察ばかりをしながら集めていたせいか、

収穫は微々たるものだったけれど、

森をふらふらと歩きまわる楽しさはすごく良くわかった。

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だって、こんな愛嬌者にも出会えてしまうのだから。

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日本の友人の情報によると、日本でも最近、キノコが人気で、

『こんにちは、変形菌!』という不思議な形のキノコの展覧会が開かれたのだとか。

その展示物の写真を見るにつれ、ますますキノコに興味がわいてきた。

 

じつは私はもともと、イソギンチャクを眺めるのが大好きで、

飼う勇気はないのだけれど、

いろいろなイソギンチャクがいる水槽をみていると、

胸がみょうにときめく。

 

キノコも、好き勝手な風体や色に進化してて、

 

おいらたちに

決まった形なんてあったっけ?

どっちにしたって気ままにしか生きられないのさ

 

とうそぶいているように見えるのは、

イソギンチャクに勝らずとも劣らずといったところ。

 

毒キノコを食べたわけでもないのに、

キノコに「しびれて」しまうなんて。

人生、何があるかわからないものです。

記念日はハルマゲドン

昨日はジョンレノンの生誕80周年を

アルメニア人の友人、エミンさんのバーで祝った。

当然、話題の多くはアルメニア情勢に。

 

ちなみに昨日は、今年初の積雪にして、雪嵐。

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記念日の準備をしていたとき、スラバが

「今晩はハルマゲドンになるらしい」

と言ったので、

「えっ?」と思ったが、

こちらでは、ひどい嵐のことをハルマゲドンに譬えるらしい。

 

つまり、ジョン・レノンの生誕80周年の記念日はハルマゲドンだった。

さすがレノン、今でも存在感たっぷり。

 

80周年の集いの賑わいに、ハルマゲドンまでが加勢した夜は、

じつに忘れがたいひとときとなった。

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ジョン・レノン生誕80周年

今日はジョン・レノンの生誕80周年の記念日。

「イマジン」の世界はまだまだ実現しているとは言い難いけれど、

心から祈るのは、ただひとつ、Love & Peace!!

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このポスターは、スラバ・カロッテの作品「Lennon」に、

素人の私がデザインを加えたもので、

普遍的な意味をもつ彼の作品にちなんで、

上下に読んでも、左右に読んでも「80」の、

無限に広がっていく「80」にしてみました。

そもそも、8は横にしたら無限マーク。

80は1980年というレノンが亡くなった年とも重なります。

 

元の作品にあるコラージュは、

スラバがPCなど使わず、手作りしたもの。

そのハンドメイドなのにデジタルな感じと

さらにその上を覆うデジタルとの二重のギャップも、

ちょっとした遊び心になりました。 

白いハエを見て、マガモの代わりに焦る

今朝、窓の外を見ると、ぼたん雪が風にあおられ、

ふわふわと舞っていた。

いよいよ初雪だ、なんか素敵だなあ、と心ひかれていると、

背後から

「こういう雪は、こっちでは『白いハエ』って呼ぶんだ」

とスラバの声。

「えっ、ハエ??」

ちょっとひるむが、改めて見ると、無数の雪片が舞う様子は、

確かにハエの大群にそっくり。

 

北の方の村々ではとっくに雪が積もっているそうで、

いよいよイルクーツクも冬の入り口をくぐったわけだが、

アンガラ川の川辺で休憩していると、

マガモがまだけっこうたくさんいた。

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すでにオーストラリア方面に飛んでいったと思われる、

カモメたちほどの長旅ではないとしても、

たぶんマガモたちだって、

日本や中国くらいまでは飛んでいくんじゃないかな?

まだここにいて、間に合うのかな??

 

「カモ」事ながら心配になるが、

きっと彼らには彼らなりの事情があるのだろう。

 

川辺には、すずめもたくさんいたのだけれど、ふと、

カモやカモメと比べ、一番小さくて寒さに弱そうなスズメが、

零下十何度が当たり前のイルクーツクの冬を、

毎年、ひるむことなく越していることに気づき、

ちょっぴり畏敬の念を抱く。

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 いずれにせよ、国境を越えられないのは今の私たちも同じ。

 

西の方ではきな臭い出来事が続いているけれど、 

今年の冬が、生きとし生けるものすべてにとって、

越えやすい冬になることを、祈るばかり。

 

イルクーツクの奇景、時間編

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こちらでは、いよいよ葉が染まりはじめました。

自然の絵筆が描くグラデーションは、美しいけどとても儚い。

 

今年はどういうわけか、ものすごい駆け足で時が過ぎていく。

「時間の歯車」が三倍速で走っているみたい。

うかうかとしていたら、あっという間に年末&クリスマスかも。

そんなことを思っていたら、バイク修理工のガレージでこんなものを発見。

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バイカル湖岸鉄道をめぐって――「シベリア・イルクーツク生活日記」を更新 

集広舎のサイトに連載中の「シベリア・イルクーツク生活日記」に、

先回訪れたバイカル湖岸鉄道について書きました。

私自身は鉄道マニアではなく、もしどこかに行くとき、

そこに鉄道で行けるのであれば嬉しいな、という程度のファンなのですが、

この鉄道はいろんな角度から楽しめるので、興味がつきません。

とくに、トンネル内に出る幽霊というのが、気になりました。

白い馬がひづめでレールをコンコンと叩くのだそうです。

懐中電灯で前を照らさないとレールにつまずきそうになるような暗闇で、

馬の鼻息やコンコンという音が聞こえたら・・・

きっと忘れられない旅になることでしょう。