今朝、窓の外を見ると、ぼたん雪が風にあおられ、
ふわふわと舞っていた。
いよいよ初雪だ、なんか素敵だなあ、と心ひかれていると、
背後から
「こういう雪は、こっちでは『白いハエ』って呼ぶんだ」
とスラバの声。
「えっ、ハエ??」
ちょっとひるむが、改めて見ると、無数の雪片が舞う様子は、
確かにハエの大群にそっくり。
北の方の村々ではとっくに雪が積もっているそうで、
いよいよイルクーツクも冬の入り口をくぐったわけだが、
アンガラ川の川辺で休憩していると、
マガモがまだけっこうたくさんいた。
すでにオーストラリア方面に飛んでいったと思われる、
カモメたちほどの長旅ではないとしても、
たぶんマガモたちだって、
日本や中国くらいまでは飛んでいくんじゃないかな?
まだここにいて、間に合うのかな??
「カモ」事ながら心配になるが、
きっと彼らには彼らなりの事情があるのだろう。
川辺には、すずめもたくさんいたのだけれど、ふと、
カモやカモメと比べ、一番小さくて寒さに弱そうなスズメが、
零下十何度が当たり前のイルクーツクの冬を、
毎年、ひるむことなく越していることに気づき、
ちょっぴり畏敬の念を抱く。
いずれにせよ、国境を越えられないのは今の私たちも同じ。
西の方ではきな臭い出来事が続いているけれど、
今年の冬が、生きとし生けるものすべてにとって、
越えやすい冬になることを、祈るばかり。