イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

やっぱりむしはむしできない

お知らせが後回しになってしまいましたが、

昨晩深夜すぎ、つまり12日(土) 午前0時10分頃から

NHKの関西発ラジオ深夜便のアジアリポートのコーナーでお話ししました。

 

プレーヤー | NHKラジオ らじる★らじる

 

ちょっと引かれるのを覚悟で、今回は敢えて虫のお話をしました。

こういう番組では、現地特有のもの、新しい変化など、

「有る」ものを追うことが多いのですが、個人的には、そこに

「無い」ものを知ることも、じつは面白かったりします。

 

私は、それまでにシベリアで夏を過ごしていたにも関わらず、

スラバが日本でせみの声に「何なんだ!?」驚くまで、

「シベリアにはせみがいない」ことに気づきませんでした。

かぶとむしやかまきりがいないことにも。

 

ちなみに、話の内容を練っていたのは、

ちょうど草地でたくさんの蚊に刺された後のこと。

因果関係は分かりませんが、

数日後、ただの風邪とは思えない病気にかかり、

熱やら咳やら悪寒やら頭痛に悩まされ、うんうんうなりながら、

蚊にせよ、何らかのウイルスにせよ、

小さいものは漠然としている分、やっぱり怖い、

とネガティブな連想に陥ったりもしました。

 

もちろん、いずれにせよ彼らとは共存しなくてはいけないのだから、

根拠もなく心配しすぎるのは良くないんですが。

 

幸い、放送日までにだいぶ快復し、今は頭がぼうっとしているだけです。

もっとも、私の頭はいつもちょっとぼうっとしているので、

どこから病気なのか、自分でもよくわかりません。

 

ちなみに、予定通りにいけば、近々、また蚊のものすごく多い田舎に行きます。

先回の体験に懲りて、もう絶対に夏のシベリアの田舎は避けよう、

と心に決めていたのですが、

考えてみれば、蚊たちだって、いわばシベリアの古くからの住民なので、

やはり何とか、共存の方法を探るしかありません。

環境には悪いけれど、

やっぱり蚊よけスプレーで住み分けてもらうかな?

 

×××

 

最後に虫捕り関係で余談を。

 

私の周りは、基本的に文化関係者やエンジニアばかりで、

軍隊関係者はいないのですが、

軍隊にいた時についたあだ名で

呼ばれ続けている男性はけっこういます。

 

友人のコンバットもその一人。

由来は実際に昔、コンバット(大隊司令官)だったから。

 

こちらには、さびに「コンバット」という言葉の入る、有名な歌謡曲があるので、

彼が来るたびにその曲を流して面白がるのですが、

日本でコンバットというと、やはり思い浮かぶのはあの製品。

その存在感は、私などは、他に何も思い浮かばないほど。

それを思うたび、

日本の平和ぶりが何だか、ありがたく感じられます。