これまで長らく寄稿してきたARTSCAPEの「FOCUS」欄に、
新たな拙稿が掲載されました。
ごみの埋め立て地がミュージアムに――文化的価値と都市のメンツのジレンマ
今回、取り上げたのは、じつにパンクで無邪気で残酷で謎めいた、
軍事マニアも平和主義者も訪れずにはいられない場所です。
ロシアにミュージアムは数あれど、
このミュージアムほど今、ホットでありながら、
微妙な立場にもあるミュージアムは少ないでしょう。
古物の展示も素晴らしかったですが、脳裏から消えないのは、
矛盾と対立と歴史の余韻を包み込みながら広がる、シベリアの草原と森林。
ちなみに、山火事がひどかったときに平原での展示を見た人は、
「空気が煙っていて、怖いほどリアル!」と感じたのだとか。
確かにそうでしょうが、考えたら、
異常に増えた山火事も、巨大なごみの埋立場も、
人の行いが地球を一方的に傷つけている残酷な戦場。
戦禍に苦しむ人々の悲鳴はもちろんですが、
大自然の悲鳴にも耳を傾け続けねば、
と思ったりしたのでした。