イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

よその芝生は隣でなくても青い&ラジオで「流通」について

暑中お見舞い申し上げます。というより、酷暑お見舞い申し上げます。

 

昨日、ローマに住む古いイタリア人の友人から、

「やっぱり北欧かカナダに住みたかったな~」というメッセージが届き、

「なぜ?」と訊いたら、理由の一つは「ローマは暑いから」。

 

誰もが憧れる、3000年の古都からさえ逃げ出したくなるほど、

ヨーロッパも暑いんですね。

シベリアに遊びにおいで、と言いたいところですが、そもそも戦時中だし、

こちらも日中は30度を超えるほど暑い。

 

そんなわけで、私も気の利いた言葉が見つからず、

「でも、私たちの友人夫妻は、イタリアに憧れて、モスクワからイタリアに移り住んだばかりだよ!」

と、慰めておきました。隣の芝生は青く見えるもの。

実際は、イタリアと北欧やロシアはだいぶ離れていますが……

 

ところで、うっかりしていてすみません。、

NHKラジオマイ朝の「海外マイ朝だより」、

今朝(土曜)の放送分でも出演させていただきました。

ご興味のある方は、以下の聞き逃しサービスからどうぞ。

プレーヤー | NHKラジオ らじる★らじる

(配信は8月4日、午前4:55まで)

 

テーマは流通です。

改めて注意しながらイルクーツクの街中を歩いてみたら、

今回の話の中に出てくる、ネットショップで買った品物の「受け取りスポット」、

まさに雨後の竹の子みたいに増殖中。

マーケットプレイスのロゴが入ったバッグも頻繁に見かけるように。

 

受け取りスポットは、

カウンターとロッカーや更衣室ぐらいかないので、一見、すごく無機質。

シャッター街になるよりはいいのでしょうし、そもそも 

普及しているのは、とても便利だから。

でも何だか、イルクーツクの街のパーツが少しずつ均質化していくような、

ちょっと不気味な印象も覚えます。

 

町の風景がだんだんと似通ってくる、というのはやはり、

現代社会の抗い難い傾向なのかもしれません。

それに、酷暑の中で配達時間を気にしながら各家に配達する、

日本の配達員の方々のことを考えると、

ロシアで流行の流通の形も、ある意味では人間的な気がします。

うまくすれば、配達員の人手不足も回避できるかも?

 

追記

ちなみにこのブログを書いた直後、今年8月9日から、中古車を含む、排気量1.9リットル以上の自動車の日本からロシアへの輸入が禁止されるという情報が入ってきました。

私自身は、日本車が本格的に消えていく、ということ以上に、ウラジオストクなどで民衆の不満が募るのでは、ということの方が気になります。