新年を迎える準備、着々と進行中。
お祭りって存在は浮かれ者だけど正直者。
とくに期日はしっかりすぎるほど守ってくれる。
ロシアのクリスマスは1月7日なので、
年内締め切りの仕事を抱えていると、
この風景がもたらす焦りは、正直、
日本でツリーを見た時とは比べ物にならない。
ああ、クリスマスを心から楽しめたのはいつの頃までか。
もちろん、今年は健康で家族と迎えられれば、
それだけで十分に幸せ者なのだけれど。
私の母はクリスマスツリーが大好きで、
毎年、いろいろなオーナメントをぶら下げるのを楽しみにしていた。
だが私の方は、成長するにつれ、勉強や仕事の忙しさが増し、
たとえ家族と何とか合流できた年でも、
母がツリーを飾るのをあまり手伝えなかった。
年末に会うこと自体が難しかった時期もある。
それでもせめて晩年ぐらいは、
飾るのを手伝えばよかった、と今でも心残り。
でも、歳を重ねていくなか、毎年変わらず
クリスマスツリーを飾るのを愛せた母の人生は、
時間に追われすぎない、
けっこう幸せな人生だったのでは、とふと思う。
いや、私もツリーは好きなのだけれど、
クリスマス前ぎりぎりにならないと
感慨を覚えて見惚れたりする余裕がないのだ。
でもロシアでは、カソリックのクリスマスから
元旦にクリスマスも祝ったソ連時代の遺風、
そして、正教のクリスマスがほぼ一週間ごとにやってくるので、
ツリーは年末年始、三回脚光をあびる。
毎年、設置に数百万ルーブルはかかると言われている、
キーロフ広場のツリーを、
人々がそれなりに受け入れているのも、
ツリーが主役になれる時期の長さを思うと、
そこまで高くはついていないと感じられるからかもしれない。
何はともあれ、
それだけ存在感がたっぷりなら、
さすがに、じっくりと長く楽しめそうなものだが、
なかなかそうもいかないのが、
今年の難しいところ(涙)。