イルクーツクの風の音 

ロシアの中部、シベリアの南、ヨーロッパ文化の辺境、アジアの片隅、バイカル湖の西にある街を拠点にしている物書きの雑記帖                  written by Asami Tada ©2020多田麻美

イルクーツク生活日記にて、農村訪問記

我が家周辺ではここずっと、

道路や配管の整備のため、かなりの騒音つきで、絶賛工事中。

そしてそのあおりで、

温水の供給も11日間にわたって絶賛停止中。

 

学生時代や北京時代は、

風呂なし、温水器なしの部屋に住んでいた期間も長かったのに、

加齢とともに軟弱になったのか、風呂が使えない日々はちとつらい。

大きな鍋で湯を沸かし、片手鍋で湯をすくって湯あみする毎日。

 

でもじつはこちらでは、こういうことはよくあることらしく、

全室暖房が入ったり切れたりする時期には、水が全く出なくなったりする。

今回は日数こそ長いけれど、いざとなれば水浴びもできる季節なので、

まだ楽な方。それに、

「熱いお風呂に入りたい」なんて、

洪水や地震などの天災で避難生活を送っている方々などと比べたら、

何とも甘っちょろい悩みだろう。

 

ところで、

集広舎のウェブサイトに連載中の「シベリア・イルクーツク生活日記」にて、

先日の旅について記してみました。

 

第4回農村訪問記

 

今回は写真も豊富ですので、ご興味があれば、ぜひご覧ください。

 

ちなみに、ワラビヨバ村(直訳するとすずめ村)では、

蚊やぶよの多さにも驚かされました。

目の周りが刺されまくった挙句、顔がお岩さんのようになり、

鏡を見て「これ、ほんとうに私?」と疑ってしまうほどに。

そんな非現実感は、

ファンタスティックなほど風景が美しい村での、

異世界にいるような超越感とあいまって、

「ここはどこ?私は誰?」

という、どこか実存的な問いさえ、引き起こしたのでした。